【ネタバレ】ソー/ラブ・アンド・サンダーの感想

ネタバレあり。


個人的にも多少の出来事がありつつ、暗殺事件に選挙など、なかなかヘビーな時期になりました。そこで、ストレス解消も兼ねてこの映画を観に行くことに。


結果的には割と良作でした。まあ、傑作とまではいかないかな。でも満足。


一番良かったのは、ゴアの願いが叶ったこと。てっきりゴアを倒して終わりかと思っていたので、これにはビックリ。「神に裏切られた男の物語」が「神に願いを叶えてもらうこと」で終わるとは、なんと綺麗な物語でしょうか。


このへん、ラプーやゼウスが「ふんぞり返っていた高慢な神々」であるのに対してソーが「様々なものを喪った神」だからという考察も見かけました。ゴアと対等の立場で寄り添えるのは、ソーだけだったということですね。


そして、ゴアの娘とソーのコンビが『ラブ&サンダー』として語り継がれたというラスト。最高のタイトル回収じゃないですか。ジェーンがヴァルハラに行ったのも面白い(たまに復活してほしい)。


世界観に着目すると、今回「神々の議会」や「最高の神ゼウス」が登場したのはすごい事だと思いました。なぜなら、今までも神話的なスケールの物語があったのに、北欧神話以外の神々はほぼ登場しなかったんですよ。サノスとの戦いなんか、神々も含めて全宇宙の命に関わる戦いだったのに(※ちなみに、サノスの元ネタはギリシャ神話の死を司る神タナトスだそうです)。


これをどう解釈するか。まず、これはMCUのリアリティに関する問題だと思っています。『アイアンマン』『ハルク』『キャプテン・アメリカ』などを見ても分かるように、MCUの初期は、現実の延長上にある世界観でした。『マイティ・ソー』も、北欧神話風でありながら宇宙SFという、独特な雰囲気を持っています。 


最近のMCUでは魔法使いも出るし、中国武術やドラゴンも出ます。小籠包の神さまも出ます。でも、フェーズ1のリアリティ・ラインでは、それらのキャラを出すことは難しかったでしょう。


そんなMCUの世界では、多神教的な神々を信じるものは少数派です。一神教の隆盛も理由でしょうが、やはり「神はいない」「神に願うより科学で解決した方が早い」という現実的な世界だからでしょう。それは人──地球人や、我々のような観客の目線です。


では、神々の視点から見ればどうか?


MCUの神々は「神の称号を持つ宇宙人」だと僕は捉えています。彼らはすごい力を持っていますが、しょせん生き物です。人間と同じ。その上、「頼まれたからって願いを叶える義務はない」という考えなのです。事実、彼らに神はの役割を演じる必要性が少ない。「勝手に拝まれたり勝手に恨まれても困る」というのが向かうの目線でしょう。


話をまとめると、「宇宙の神々」が大集合した事によって、彼らの考え・立場が明らかになってきたということ。そして、神々は必ずしも人や宇宙を救うものではない。そのため地球上ではかつての信仰を失いつつある。


そういう無責任で弱い神々だからこそ、サノスとの激闘にも干渉する事がなかったのだと言えるのです。


とりあえず、NWHやMoMと同じく、この作品も『ポストサノス』の作品という気がします。死や喪失をどう受け入れ、立ち直っていくか。都合のいい誰かが救ってくれるなんて事はそうそうない。


そこであえて、ハッピーな結末を描いてくれたのが本当によかった。


我々も、心の中に『愛と雷』を持って生きていきたいですね。そしていつか、過去を乗り越えていくのでしょう。