【小説】イルカ帝国の野望 その2

海の中にイルカ帝国が栄えていた頃、地上には扶桑(ふそう)という島国があったそうな。扶桑には、それはそれは勇敢な女武者と、盗賊の少年がいたそうな…


「師匠!イルカ見せてよ!」

「ダメだ。この辺の浜辺にはイルカなんて来ない。もっと遠くの島じゃないと見れない」

「ケチ!」

「私はケチじゃない!ケチなのはイルカの方だ!」


盗賊の少年と、その師匠である女武者が浜辺を歩いている。その姿を見て、思わず声をかけるものがいた。


「そこのお方、どうかオイラを助けて欲しいでゴンス!」


人間の声でしゃべる、黒こげのウミガメ。その姿を見て、少年は思わず声が出た!


「うわ、カメの丸焼き!?うまそう!」


駆け寄る少年。カメは必死に叫ぶ。


「やめるでゴワス!!生きてるでゴワス!」


カメを持ち上げようとする少年に、女武者が声を張り上げる。


「星太郎!とりあえずそいつを助けよう!」


「えー、残念」


星太郎はウミガメを下ろした。


「ホッとしたでゴンス…」


「では、この薬草を食べるがいい」


「ムシャムシャ。まずいでゴンス」


しかし、ウミガメの体はみるみる内に回復し、傷ひとつ無いピカピカの姿に戻った。


「ありがたいでゴンス!お礼がしたいでゴン ス!」


「ふむ。お礼はありがたいが、それよりも聞きたいことが……」


女武者の話をさえぎり、星太郎が喋り出す。


「ウミガメさん!この辺でイルカって見なかった?」


「えっ!それは……」


ウミガメは深く悩み、沈黙する。女武者は返答を待たず、本題に入る。


「今はイルカはどうでもいいから。それより、お前を黒こげにしたやつは何者なんだ?」


それはイルカの話だった。


「ひっ!!あ、あ、あいつはイルカじゃないでゴンス…」


「いや、イルカのことは聞いてないが……」


「に、二本足のイルカが、オイラに雷を撃ってきたんでゴンス!地上を偵察するとか言ってたでゴンス!」


「ほう、イルカの化け物か」


「そうでゴンス!きっと悪者でゴンス!」


「そのイルカはどっちへ行った?」


「り、陸の方でゴンス…」


女武者は星太郎の顔をチラリと見る。星太郎は期待に満ちた目だ。


「よし、星太郎。イルカ探しだ!」


「やったー!」


こうして、盗賊の少年星太郎と、女武者の桜野悠月によるイルカ退治が始まったのであった……。